公民館の活動や公民館祭りなどの様子を記録として撮影しておきたいのですが、注意する点はありませんか? [更新日:2010年10月24日] 質問 公民館の活動や公民館祭りなどの様子を記録として撮影しておきたいのですが、注意する点はありますか? 回答 公民館の職員から「公民館の活動や公民館祭りなどの様子を記録として撮影しておきたいのですが、注意する点はありますか?」と質問が寄せられました。 注意すべき点は? このような場合、著作権の観点で注意しなければならない点は、以下の通りです。 「上演権・演奏権」 … 公衆(「不特定の人」又は「特定多数の人」)に上演・演奏すること。質問の場合であれば、ステージで劇を演じたり、音楽を演奏する場合にあてはまります。 「口述権」 … 「言語の著作物」を、朗読などの方法により口頭で公衆に伝達すること。 「上映権」 … 著作物を、公衆向けにスクリーンやディスプレイに映し出すこと。 「複製権」 … 著作物を「形のある物に再製(複製)する」こと。ビデオカメラでの撮影や、テープレコーダーでの録音も複製に当たります。 実演家の権利 … 公民館で発表した方がアマチュアであっても、著作物を演じる「歌手」「俳優」にも実演家の権利として「著作隣接権」が発生します。 記録として撮影する内容によって変わってきますが、様々な部分に著作権が発生します。これ以外にも著作権ではありませんが、プライバシー権の一部として位置づけられる肖像権にも留意すべきです。 すべてにおいて著作権者に確認を得なければならないか? 原則としては、他人の著作物を利用するのであれば権利者の「許諾(了解)」を得なければなりません。 しかしながら、著作権法「第38条 営利を目的としない上演等」では、学校の学芸会、市民グループの発表会、公民館での上映会など、非営利・無料の利用の場合には、「無断利用(著作権者に許諾を得ない利用)」での「上演」「演奏」「口述」「上映」が行うことができます。 ただし、以下の条件が満たされていなければなりません。 営利を目的としていないこと 聴衆・観衆から料金等を受けないこと 出演者等に報酬が支払われないこと また、第38条で例外的な「無断利用」を認めているのは、「上演」「演奏」「口述」「上映」に限られており、「複製」「譲渡」「公衆送信」は含まれていません。そのため、「複製」に当たる撮影・録音を行うことは、著作権の侵害となってしまいます。 記録としての撮影は行ってはいけないのか? 第38条と同様の例外規定に「第42条 裁判手続等における複製」があり、行政の目的のための内部資料としての複製は認められています。 ただし、この例外規定は、その複製物がなければ、公的事業が進められず、著しく人々に不利益を被ることが明らかな場合のみ認められているものであるため、記録としての撮影がこの例外規定に当てはまるかは検討しなければなりません。 また、発表者の身内や関係者が撮影・録音する行為は、「第30条 私的使用のための複製」によって、「無断利用」が認められているため、著作権の侵害とはなりません。 まとめ 著作権法に照らし合わせた場合、質問のような公民館の行事をビデオカメラで撮影し記録として残す行為は、第38条や第42条の例外規定にあてはまらないため、著作権者に許諾を得なければ行うことができません。 お問い合わせ先 富山県映像センター 〒930-0096 富山市舟橋北町7-1(県教育文化会館) 電話番号:076-441-8455 FAX番号:076-441-5334