LAF30 続・伝統と継承① [更新日:2025年10月19日] 続・伝統と継承 第1回 を開催しました。 〇日 時 令和7年10月16日(木)10:00~12:00 〇場 所 薬種商の館 金岡邸(富山市) 〇講 師 薬都とやまくすりの語り部 安岡 隆 氏、松本 知子 氏、布村 浩志 氏 〇テーマ 売薬の歴史と金岡邸 まず最初に金岡邸職員でもある安岡先生から金岡邸の見どころを4つご紹介いただいた。①薬の原料(180種類)の展示、特に日本で2体しかないジャコウジカのはく製、②売薬さんの商売道具、③売薬から発展して生まれた富山県の産業の歴史、④建物そのもの。 入口にたくさんの引き出しがあり、ここで薬の原料を売っていたそう。昔は誰でも薬を作ったり売ったりしても良く、私達がスーパーで野菜を買って料理をするように、各家庭で薬を作っていたとお聞きした。セミの抜け殻、ミミズ、ゴキブリも原料だと知り、驚いた。 荷物の運搬が馬から北前船になると運ぶ労力が激減し、昆布が欲しい中国と薬の原料が欲しい富山で密貿易を行って財力をつけていったようだ。薬を売るためにガラス瓶や包装紙が発展した。 富山の薬が有名になったきっかけは、前田正甫公の腹痛が反魂丹で治ったからというエピソードがあり、確証はないが事実だと言われている。全国では富山、奈良、滋賀、佐賀が売薬で栄えていた。売薬の顧客データは懸場帳で管理し、1冊に500~700軒分が記載されていた。売薬さんは5段の行李に薬や懸場帳、おまけの紙風船を詰めて、合計20㎏を背負っていた。おまけを利用する商売は日本で初めて富山の売薬さんが行ったそうで、カラー版画などが珍しく喜ばれていたようだ。 金岡邸は、売薬業で栄えた金岡家が創建したもので、豪華絢爛な建築物である。門や柱、欄間、天井、庭など随所に格調の高さが覗える。金岡家長男の又左衛門は、発電所を建設し、常願寺川の砂防工事を国の事業にするよう要請した。困窮学生にポケットマネーで支援していた。五代目金岡幸二はインテックや富山国際大学を設立した。 講座の最後には広い座敷でじっくりと質疑応答していただきました。最近では来館者の8割が県外の方で、宮本輝さんの『潮音』を読んで訪れる方が多いのだとか。図らずも話題性の高い時期に訪れることができた。 受講者の皆様からは、 「すばらしい建物、わかりやすいお話、富山の歴史についていろいろと関係も含めて知ることができました。ありがとうございました。」 「初めて金岡邸に来ました。小説の中で読んだ世界が具体的に見られて大変よかったです。」 「実地研修は、直近に見ながら学べるので良く理解でき、楽しかった。」 「大変おもしろかったです!!以前来たことありましたが、やはり専門の方の説明があると大分理解がちがいます。」 などの感想をいただきました。 次回は、10月30日(木)「「市民参加世界一」のガラス工房」 講師は、富山ガラス工房 普及推進部長 名田谷 隆平 氏です。 お問い合わせ先 富山地区センター 〒930-0009 富山県富山市神通町二丁目12番20号 電話番号:076-441-0301 FAX番号:076-441-0328