LAF30 続・伝統と継承③ [更新日:2025年11月6日] 続・伝統と継承 第3回 を開催しました。 〇日 時 令和7年11月6日(木)9:15~10:45 〇場 所 猪谷関所館(富山市) 〇講 師 猪谷関所館 館長 丸山 正宏 氏 〇テーマ 越中を襲った江戸時代の災い ~関所番人橋本家が綴った記録より~ 講座の前半は講義、後半は展示を見ながら解説していただいた。 最初は、猪谷関所館の見どころについてお聞きした。2000点の古文書を保管しておられ、ジオラマや円空仏、神岡鉄道関連など多彩な展示があり、年に3回の企画展を開催されているとのこと。飛騨から講師をお呼びできるのが、この場所の強みだそうだ。 次に、江戸時代の越中の様子について様々な視点からお聞きした。戦国時代から越中を支配した武将の移り変わり、加賀100万石は4割が富山県であったこと、安政飛越地震の震度の威力、当時の火事の被害の大きさ、洪水、疫病など、様々な災難についてもお話しされた。 講義の内容を思い出しながら、展示物を見学した。当時の関所を少し縮小して再現されており、現代の小学生などは縁側のように座ってしまうが、実際には緊張感が漂う場所だと説明された。商人以外は手形を提出して確実に戻る約束をしなければなかなか外へ出ることができず、旅に出ていたのは1年間に7人だけ。番人は外からの侵入者を防ぐよりも、地元の人々を外に出さないようにして人口減少を防いでいたのだとか。特に子どもを産む女性は家老の許可を得ないと外に出させてもらえず、実質的にほぼ不可能な状態だったようだ。 外に出るのが難しい上に、移動手段も歩きのみであるため、旅に出るとすれば目的地までの道中の宿場に泊まる費用もかかる。一般の農民たちには到底実現できず、旅は贅沢であった。東海道中膝栗毛が流行してからは旅に行く人が増えてきたが、それに伴い疫病ももたらされた。 神通川を渡るために籠渡しがあった。ブリを運ぶためにこれに乗って向こう岸まで運んでもらっていた。途中で綱が切れて流されてしまう人も多く、危険が伴った。VRで自分が川を渡っている雰囲気を味わうことができた。 この猪谷関所館の資料は230年もの間、関所の番人を代々努めてきた橋本家のものであるが、橋本家は関所が廃止になる際にも猪谷の地を離れなかったおかげで富山大空襲で資料が失われなかった。奇跡的に受け継ぐことができた記録に感謝したい。 受講者の皆様からは、 「館長の丸山先生の講義が大変良かった。富山藩の流れも大まかにスピーディーに聞くことができた。又、機会があれば講義を受けたい。」 「実際来てみて足を運んでみてわかることもあり…来てみてよかったです。」 「初めて来ましたが、興味のあるものが多く、また来たいです。」 などの感想をいただきました。 次回は、11月20日(木)「―村活性化のために― ・図書館の取り組み30年」講師は、舟橋村立図書館 名誉館長 髙野 良子 氏です。 お問い合わせ先 富山地区センター 〒930-0009 富山県富山市神通町二丁目12番20号 電話番号:076-441-0301 FAX番号:076-441-0328