令和8年度 高岡地区「教養講座」 第6回を実施しました。 [更新日:2026年8月27日] 日 時 令和8年8月21日(金)14:00~16:00 会 場 ウイング・ウイング高岡 503/504研修室 演 題 迫り来る散村景観の危機 ~散村地域の実態と住民意識~ 講 師 今枝 正也 氏(砺波散村地域研究所 研究員) 講座の概要 ① 散村の成り立ちと景観の特徴 富山県の砺波平野などに広がる散村は、家々が水田の中に点在する独特の景観を特徴とする。かつて庄川の氾濫を防ぐ治水堤防が築かれたことで広大な平野が開拓され、伝統的家屋「アズマダチ」や冬の強風を防ぐ屋敷林「カイニョ」、周囲の水田が一体となって散村景観が形成されてきた。しかし、昭和40年代の圃場整備や高度経済成長期の兼業化、戦中の木材供出や台風被害などを経て、その景観は大きく変容している。 ② 現在の散村が抱える深刻な課題 現在、この散村景観は存続の危機に直面している。南砺市福野北部地区で実施した住民意向調査では、若年層の流出と急速な少子高齢化が進み、管理されない空き家の増加や、それに伴うクマなどの獣害発生が深刻化していることが明らかになった。さらに、伝統的家屋の維持費や冬の厳しい寒さへの対策、広大な屋敷林の剪定には莫大な経費と労力が必要であり、住民の生活負担は限界に達している。 ③ 景観継承意識の低下と住民の苦悩 特に深刻なのは、景観継承に対する住民意識の急激な低下である。20年前の調査との比較では、美しい景観を「継承しようとする意識」が69%から36%へと半減し、家屋を「後継者に引き継ぎたい」とする割合も33%から10%へと激減している。後継者不在や修繕コストの負担から、「自分の代で終わらせるしかない」という高齢住民の諦めが広がり、散村の存続に大きな影を落としている。 ④ 今後に向けた地域主体の取り組みの必要性 この危機を乗り越えるためには、行政任せにするのではなく、住民が主体となった「地域づくり協議会」などの具体的な話し合いの場を設けることが不可欠である。農業従事者だけでなく、NPOや外部の多様な人々、若い世代を巻き込みながら、コミュニティ全体で散村の未来について対話を重ねることが求められる。こうした地道な協働の積み重ねが、散村景観の保全と継承に繋がる道筋となる。 受講者の感想から 散村の成り立ちを伺い、江戸時代からのことと知ることができた。高齢化の進む農村の抱える問題も分かりやすく説明していただき、状況をよく知ることができた。 あまり取り上げられることのないテーマで、興味深く拝聴した。散村のカイニョを含む伝統的な家屋や田園の風景は、世界的にも貴重で大変趣のある素晴らしいものであるが、実際に住んで生活すると、様々な課題が出てくると感じた。この景観を長く大切に保つために、皆でこれからも問題意識をもって考えていくべきだと思った。 次回予告 第7回高岡地区教養講座 9月11日(金)14:00~ 演題:富山の人口流失を考える~なぜ若い女性が富山を出るか~ 講師:中村 真由美 氏(富山大学経済学部 教授) お問い合わせ先 高岡地区センター 〒933-0023 高岡市末広町1-7 ウイング・ウイング高岡7F 電話番号:0766-22-5787 FAX番号:0766-22-5872