令和8年度 高岡地区「教養講座」 第5回を実施しました。 [更新日:2026年8月14日] 日 時 令和8年8月7日(金)14:00~16:00 会 場 ウイング・ウイング高岡 503/504研修室 演 題 変わりゆく富山のさかなたち 講 師 魚津水族館アドバイザー・元館長 稲村 修 氏 講座の概要 ①海洋環境の変化と温暖化の影響 近年、地球温暖化の影響は日本近海、富山湾においても顕著である。従来は伊勢湾などで獲れていたイセエビが三陸沖で漁獲されるなど、魚種の北上が進んでいる。富山湾でもイサキが定着し、サワラが急増するなど、南方系魚種の増加が確認されている。 ②富山湾の特異な地形と水構造 富山湾は、標高3000m級の立山連峰から水深1000mの深海までがわずか50kmの距離に収まる、世界でも類を見ない急峻な地形をもつ。海水は二層構造となっており、表層は対馬暖流水、深層は日本海固有水(ロシア沿岸で冷やされ、約100年かけて富山湾へ到達する冷たく酸素と栄養が豊富な水)である。冬の寒さで表層水が冷えて沈み込む「鉛直混合」により、深層の水が表層へと運ばれ、栄養が供給されている。しかし、温暖化で冬の冷却が不十分になると、この循環が滞り、生態系全体に影響を及ぼす懸念がある。 ③陸域と海洋の連環:森の役割 森林からの窒素やリンなどの栄養分が、川や地下水を通じて海へ供給される。しかし、「河川のコンクリート護岸化や基盤整備による自然な栄養の流出の阻害」や「太陽光パネル設置による森林伐採や、降雪量の減少による地下水量の低下」により海への栄養供給が減少している。 ④富山のさかなの変化近年の魚種の変化は次のとおりである。・増加・定着した種:サワラ、イサキ、クロマグロなど・減少・危機に瀕している種:サケ、スケトウダラ、ニシンなど・能登半島地震の余波:ベニズワイガニやバイ貝、白エビなどの減少※寿命が2〜3年と短いシロエビは震災翌年には回復傾向が見られたが、成育に10年以上かかるカニ類は、生息環境が整うまで長い年月が必要である。 ⑤今後の展望と警鐘 南方系魚種の定着や、猛毒を持つヒョウモンダコの出現など、富山湾の様子は確実に変化している。また、県内の河川開発が進みすぎたことで、守るべき希少種さえいなくなっているという現状もある。人間の利便性と自然環境のバランスをどう取るべきか、個々人が身近な環境の変化に目を向けることが求められている。 受講者の感想から 講義は講師の一方的な話や説明ではなく、終始、聴衆を視野に入れ、語り掛けるように行われていた。Very good!聴衆の質問にユーモアを交えながら、丁寧に、また詳しく答えてもらった。富山の魚への愛着がさらに深まった。 魚を起点に環境全般の話をされ、とても興味深かった。温暖化は私たち一人一人の問題という指摘は心に響いた。質問からの講座の展開がユニークで楽しい講座だった。 次回予告 第6回高岡地区教養講座 8月21日(金)14:00~ 演題:迫り来る散居景観の危機 ~散村地域の実態と住民意識~ 講師:今 枝 正 也 氏(砺波散村地域研究所 研究員) お問い合わせ先 高岡地区センター 〒933-0023 高岡市末広町1-7 ウイング・ウイング高岡7F 電話番号:0766-22-5787 FAX番号:0766-22-5872