令和8年度 高岡地区「教養講座」 第4回を実施しました。 [更新日:2026年7月22日] 日 時 令和8年7月17日(金)14:00~16:00 会 場 ウイング・ウイング高岡 503/504研修室 演 題 仏教美術(仏像)を楽しく鑑賞するために 講 師 富山大学芸術文化学部 准教授 三宮 千佳 氏 講座の概要 ①仏像鑑賞をより深めるための基礎的視点仏像は大きく「如来部(にょらいぶ)・菩薩部(ぼさつぶ)・天部(てんぶ)・明王部(みょうおうぶ)」の四種に分類され、それぞれ造形や役割が異なる。如来部は簡素な衣をまとい悟りの境地を示し、菩薩部は装身具をつけ柔らかな姿で修行者の段階を表す。天部は甲冑をまとい如来を守護し、明王部は密教の成立とともに登場し、憤怒の形相で衆生(しゅじょう)を導く。さらに仏像には「三十二相」など身体的特徴があり、例えば「耳朶(じだ)に穴がある」「白毫(びゃくごう)が光を放つ」などは仏の象徴として理解される。 ②仏教の伝来と、仏像が制作されていく過程6世紀半ば、百済から造仏工が来日し、鞍作止利(くらつくりのとり)がその技術を学んだ。飛鳥寺の釈迦如来像は日本最初期の金銅仏であり、厳格で左右対称性の強い造形が特徴である。止利式仏像(とりしきぶつぞう)は「正面観照(しょうめんかんしょう)を強く意識し、側面は極端に省略される」という特徴をもち、古代の美意識—緊張感・普遍性・完璧さ—を体現している。飛鳥末期には中宮寺半跏思惟像(ちゅうぐうじ はんかしゆいぞう)のように側面観照が可能な立体性が芽生え、彫刻としての自然なプロポーションが追求され始めた。 ③白鳳・天平・平安・鎌倉へと続く日本彫刻史の流れ白鳳期には初唐文化の影響で写実性が芽生え、興福寺仏頭や法隆寺夢違観音像(ゆめちがいかんのんぞう)に見られるように、丸みのある輪郭や血の通った人体表現が追求された。天平期には写実性が完成し、法隆寺五重塔塔本塑像群(ほうりゅうじ ごじゅうのとう とうほん そぞうぐん)や薬師寺本尊薬師三尊像では、心理表現や自然な衣文(えもん)が高度に実現する。平安初期には反天平的(はん てんぴょうてき)な量感・威圧感が重視され、密教彫刻や明王像が力強い造形を示す。やがて平安後期には、仏師定朝(ぶっし じょうちょう)の登場によって、平等院鳳凰堂の阿弥陀如来像のように、柔和で穏やかな造形が貴族文化の美意識と結び付いた。また、地方の貴族が定朝の仏像をもてはやしたため、定朝の造った仏像が一大規範となった。鎌倉期には慶派(けいは)が写実と力強さを融合し、玉眼(ぎょくがん)を用いた生々しい表現が登場する。こうした歴史的変化を知ることで、仏像鑑賞は「美しい像を見る」から「時代の精神を読み取る」へと深まる。 受講者の感想から 丁寧で尚且つ分かりやすい解説、資料も詳しく仏像により興味が沸いて来るような大変すばらしい講座でした。三宮先生の、仏教・仏像に対する情熱と姿勢、そして熱心な研究にもとても心を打たれた気が致しました。中身の濃い講座をありがとうございました。 時代が進むにつれて仏像も変化していく様子が実際の仏像写真を見せてもらいよく分かりました。十分な道具もない時代に細かな細工をするのは大変だったろうと思います。 次回予告 第5回高岡地区教養講座 8月7日(金)14:00~ 演題:変わりゆく富山のさかなたち 講師:稲 村 修 氏(魚津水族館アドバイザー) お問い合わせ先 高岡地区センター 〒933-0023 高岡市末広町1-7 ウイング・ウイング高岡7F 電話番号:0766-22-5787 FAX番号:0766-22-5872