LSC68「地域交通の歴史、そして未来」第2回を実施しました。 [更新日:2025年11月13日] 日 時 令和7年11月10日(月)14:00~16:00 会 場 高岡地区センター学習室 内 容 富山県の鉄道 -その成立と変遷をめぐって- 講 師 地域交通史研究家 草 卓人 氏 【講座の概要】 富山県の鉄道に関して、「北陸線の建設と県内鉄道創設期」「鉄道国有化と軽便鉄道ブーム」「産業鉄道建設期(1920年代)」「戦時統合期(1930~1945年)」「戦後から未来へ」の5つの時期に分けて話された。1.北陸線の建設と県内鉄道創設期 明治政府による東海道本線の全通、日本鉄道(株)による青森までの延伸などにより私鉄建設の計画が進み、鉄道敷設法に基づき官営の北陸線が建設された。この動きと並行して県西部では中越鉄道の建設が進み、現在の城端線、氷見線の基となる鉄道が生まれた。2.鉄道国有化と軽便鉄道ブーム 1906年の鉄道国有法公布以後、私鉄の開業は激減した。地方鉄道の建設を促進するため軽便鉄道法が公布されたことにより、国・県の補助を得て県内各地で多くの地方鉄道が開業された。しかし、全国的に軽便鉄道建設が続出したことにより、補助金税源が枯渇し、政府は方針変更し、国鉄による支線建設を本格化した。3.産業鉄道建設期(1920年代) 第一次世界大戦後、富山県では電源開発輸送や港湾連絡等特定の目的と結びついた鉄道建設が進み、富山県営鉄道、黒部鉄道、富岩鉄道、越中電気軌道、加越鉄道などが開業した。さらに、官営の飛越線(現・高山本線)の建設も進められていった。4.戦時統合期(1930~1945年) 第一次世界大戦以降の人的・物的交流の変化、戦時統制経済と軍需輸送に対応するための私鉄群の統合・再編を目指す国策などにより県内でも私鉄の再編・統合が進み富山地方鉄道が開業した。5.戦後から未来へ 戦後復興が進む中で富山地方鉄道高岡軌道線(現・万葉線)や加越能鉄道(株)が開業した。しかしその後、昭和40年代以降のモータリゼーションの進展の中、多くの地方路線が廃業に追い込まれていった。そして現在、高岡軌道鉄道は第3セクター「万葉線」として、富山港線は「富山ライトレール」として営業を続けている。また、北陸新幹線開業に伴い並行在来線の北陸本線があいの風とやま鉄道に経営移管されている。 【受講者の感想】 ・明治期の県西部の鉄道計画の意気込みと熱意、そしてその実現までのさまざまな困難への対応がいろいろと説明されてとても参考になりました。また、当時から北陸線と城端線、伏木線(氷見線)との立体交差の必要性が説かれていたことに驚きました。100年以上経った今も、それが拒否された影響に悩まされていることをひしひしと感じました。 ・富山県の鉄道の歴史、変遷を詳しくご説明いただき、よく理解できました。公共交通は重要であり、今後も維持していくことが課題であり、いままでの歴史を参考に考慮していくべきと感じました。 ・県内の呉東、呉西地域の鉄道の変遷をたいへんわかりやすく説明、解説をしていただきおもしろく聞き入りました。また、戦後の鉄道がバスに変わっていった解説も、身近な学びとして興味深く知ることができました。 【次回のお知らせ】 日 時 令和7年12月15日(月)13:30~15:30 会 場 高岡地区センター学習室 内 容 城端線・氷見線の再構築と沿線の交通まちづくりを考える 講 師 富山大学都市デザイン学部 教授 本 田 豊 氏 お問い合わせ先 高岡地区センター 〒933-0023 高岡市末広町1-7 ウイング・ウイング高岡7F 電話番号:0766-22-5787 FAX番号:0766-22-5872