動物園の役割とは、 1 レクリエーションの場 2 教育・環境教育の場 3 種の保存の場 4 調査・研究の場 5 どうぶつと出会い、大切さを感じる場 6 どうぶつについて理解し学ぶ場 7 どうぶつの現状について知り伝える場 8 どうぶつを守り続ける場 そして、 9 感性と想像力を育む役割 もあると考えている。 動物園はワクワクする場所であり、命を育む場所である。
日本には北海道に生息するエゾライチョウと本州山岳地帯のニホンライチョウの2種類のライチョウが生息している。ライチョウは年に3度、羽の色が変わる。色が変わことにより季節ごとの植生に合わせた保護色になっている。
ライチョウは高山植物を食べて生きている。ハイマツの中に隠れて暮らしているので、高山植物はライチョウの「食」と「住」を支える貴重な存在である。気象変動や高山への人間の進入、本来は高山にいない動物の進出などによりライチョウの数は減少した。
ライチョウは、孵化して身体が乾くとすぐに立ち上がって動き始め、母親と餌を食べ始めるなど、成長が早い。最近は、人工育雛で育った母ライチョウも、しっかりと子育てをする事が分かった。野生では、ライチョウの雛は天敵からの捕食や悪天候により、生後1ヶ月までに死亡する確率が高い。現在、私たちはケージでの保護や捕食者対策、植生の保護などを実施している。
最近の新たな取り組みとして、野生の雄から採精し、飼育中の雌に人工授精している。血縁が濃くなると、遺伝子の病気や小型化などが起きることから、新しい血縁を持ってくる必要があるためである。警戒心が薄い日本のライチョウは簡単に捕獲でき、ライチョウ自体にも負担が少ない。たいへん簡単に捕獲できることに、海外の研究者は不思議がる。
近年、動物園からの野生復帰にも取り組んでいる。しかし、飼育個体はすぐに野生に戻すことはできない。野生のライチョウは母親の盲腸糞を食べて必要な腸内細菌を受け継ぐことが分かり、動物園で生まれた子に、野生のライチョウの盲腸糞を餌に混ぜるなどしている。また、食べられる植物の選択や捕食者を回避する能力、悪天候時の退避行動などを身に付ける必要がある。
ファミリーパークでは、ホクリクサンショウウオの保全活動をしており、生息域内保全や小学校への出前授業、里親事業などを行っている。 ライチョウやホクリクサンショウウオなどのすばらしさをみなさんに伝えていきたい。ライチョウやホクリクサンショウウオを守ることは、私たちの生活を守ることにもなる。
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