令和8年度 高岡地区「教養講座」 第7回を実施しました。 [更新日:2026年9月14日] 日 時 令和8年9月11日(金)14:00~16:00 会 場 ウイング・ウイング高岡 503/504研修室 演 題 富山の人口流出を考える -なぜ若い女性が富山を出るか 講 師 中村 真由美 氏(富山大学経済学部教授) 講座の概要 若年人口減少と富山県が抱える「逆説的な状況」 富山県では15歳未満人口や生産年齢人口の減少が進み、特に若い女性の県外流出が深刻な課題となっている。若い女性の減少は、税収減や社会保障基盤の弱体化、医療・介護・教育の人手不足だけでなく、少子化の加速や地域経済の縮小に直結する。一方で富山県は、女性就業率(全国3位)や平均勤続年数(全国5位)が高く、男女賃金格差も全国平均より小さいなど「女性活躍」の指標に優れている。それにもかかわらず女性管理職割合が著しく低いという特有の「逆説的な状況」が生じている。 産業構造と働き方が生むキャリアのミスマッチ 背景には、ものづくり県として製造業比率が高い産業構造がある。製造業では長時間労働やシフト制が多く、夫の長時間労働により妻側に家事・育児負担が偏ることで、正社員であっても女性が昇進コースを目指しにくくなっている。また、女性の4年制大学進学など高学歴化が進む中、女性が希望するITや専門技術などの高付加価値サービス業は大都市圏に集中している。県内に進学・就職の選択肢が少ないため、高校卒業後に県外へ進学・就職し、そのまま定着する構造が形成されている。 性別役割分担意識と不全な企業風土 課題は、意識や企業風土にも存在する。企業や男性社員は女性管理職の少なさを「女性本人の昇進意欲や家庭との両立」という個人問題に帰せがちだが、実際には男女の昇進機会やキャリアコースに著しい構造的格差が存在する。さらに北陸地域では家庭・職場・地域のしきたりで男性優遇傾向が強く、年代間での意識ギャップや個人への過干渉が若い女性に居心地の悪さを感じさせている。職場の「上下関係の風通しの良さ」においても富山県は全国で下から6番目と低水準にある。 「選ばれる富山」への刷新と地域変革の展望 流出を防ぐには、出ていく人を無理に引き留めるのではなく、「若い世代から選ばれる魅力」を高めることが不可欠である。具体的には、魅力的なサービス業の誘致・起業支援やリモートワークの活用、製造業の働き方改革、理系女性の育成や文系人材の活用提案が挙げられる。私自身も「やりたい仕事がなければ作ればよい」と提言し、実践的な「ナリワイ起業講座」やサイクリングツアー事業などを通じて地域活性化に取り組んでいる。風通しの良いフラットな企業風土を整え、富山の強みを現代に合わせてアップデートすることが求められている。 受講者の感想から 若い女性の流出の問題が、様々な面で影響があり、大変な問題だと認識しました。少しでも居心地の良い働きやすい地方風土が育つように微力ながら日々生活を大切にしていきたいと思います。 県内企業への定着と製造業の比率の観点は新鮮でした。製造業は体力差が出てきます。女性への配慮と差別の境界をどのように考えるか悩ましいと感じました。 次回予告 第8回高岡地区教養講座 10月23日(金)14:00~ 演題:笑いの持つ力と脳の体操 講師:串間 篤治 氏(明生薬品工業株式会社 代表取締役) ※ウイング・ウイング祭協賛講座として公開します。 どなたでも受講できます。 お問い合わせ先 高岡地区センター 〒933-0023 高岡市末広町1-7 ウイング・ウイング高岡7F 電話番号:0766-22-5787 FAX番号:0766-22-5872