LSA64「そこが知りたい!新川の歴史」第2回 [更新日:2025年12月3日] つながる学びわくわく講座つながるふるさと学びコース(地区単独型) LSA64「そこが知りたい!新川の歴史」第2回 「宇奈月温泉木管事件と権利濫用」 日 時:令和7年11月29日(土)10:00 ~ 12:00 場 所:富山県民生涯学習カレッジ新川地区センター 講義室 講 師:高岡法科大学 講師 後藤 亜季 氏 講師の後藤先生 わかりやすく解説していただきました 楽しい講座でした 宇奈月温泉は大正12年に黒部川上流の黒薙温泉から木製の引湯管(木管)でお湯を引き開湯しました。当時、この木管が利用の承諾を得ていない土地をわずかにかすめていることを知りながら、この土地を購入した所有者は、木管の所有者に、木管を撤去するか、隣接地を含む3000坪を時価の26倍で買い取るよう要求しました。木管の所有者がこれを断ったため、土地の所有者は木管撤去や立ち入り禁止などを求めて裁判を起こしました。大審院(現在の最高裁判所)は土地の所有者の主張を「権利の濫用」と判断し、訴えを退けました。この事件を宇奈月温泉木管事件と言います。 講座では高岡法科大学の後藤先生に宇奈月温泉木管事件とは初めて権利濫用について大審院が明確な判断をした事例であり、民法判例百選に掲載されるほど、重要な判例であることや事実の概要および裁判所の判断について詳しく解説していただきました。形式的には権利の行使であっても社会的な妥当性がない場合は正当な権利行使とはしないとする考え方を教わり、権利濫用に関する様々な判例を紹介していただきました。先生はさらに物や財産など目に見えるものを重視した過去の「地の時代」に対して、現在は知性や情報などを重んじる「風の時代」であるとされ、誰もが意見を発信できることで、時に対立や分断が生じていると示唆されました。法律とは誰もが自分らしく生きられるように私たちを守るものであり、このような時代において私たち一人一人が情報を取捨選択し、互いに自分らしさを尊重しながら何を実現することが正しいことなのかを考えていくことが大切だと仰る後藤先生。宇奈月温泉木管事件を法律の視点から学び、今をよりよく生きるためのヒントを得た講座となりました。 <参加された皆様の感想より> 「とても面白かったです。話が聞きやすく解りやすく法律がとても身近に感じられました。」 「とてもわかり易く話しも上手で一気に聞き入りました。宇奈月温泉木管事件の話、いろいろ聞いてきましたが、今回の説明がとても上手で印象に残ります。素晴らしい講義でした!」「聞きやすい声、わかりやすい説明本当に面白い話でした。ぼんやり知っていた宇奈月温泉木管事件、友人、家族に伝えたいと思います。この事件から権利濫用の法律の広がりがおもしろかったです。法律っておもしろいと思いました。また受講したいです。」 「知っていた事件ではあったが話が上手だったので興味を持って聴けた。権利濫用とされたその後の事項は知らなかったので、勉強になった。目からうろこだったのは国家とは何か、法律とは何のためにあるかについての話だった。」 「18才上京。富山出身と言ったら「宇奈月事件知ってる?」と聞かれ「???」その後しばらく忘れていましたが、その後法学部の友人に詳しく聞きました。昭和一桁の時にこのような判例が出されたこと、またその場所が近くの宇奈月温泉であったことに感動しました。今日の先生の話は分かりやすく宇奈月事件後の判例が聞けて大変おもしろかったです。」 次回は12月18日(木) 第3回「佐々成政の新川郡平定」 講師は とやま歴史的環境づくり研究会代表/越中史壇会 研究委員 高岡 徹 氏 です。