LSA56「見つめよう!新川-水・大地・植物-」第3回 [更新日:2025年7月12日] つながる学びわくわく講座つながるふるさと学びコース(地区単独型) LSA56「見つめよう!新川-水・大地・植物-」第3回 日 時: 令和7年6月28日(土)10:00〜12:00 場 所: 富山県民生涯学習カレッジ新川地区センター 講義室 講 師: 魚津埋没林博物館 館長 石須 秀知 氏 「なぜそこに生きるのか~植物の背景を探る」 講師の石須氏。 講義ではまず、富山県のスギ、とくに片貝川南又谷の岩上に生育する「洞杉」について紹介していただきました。岩の上で巨木へと成長する洞杉の不思議を、多雪環境や、幹の曲がり、空洞化、岩上での生育のそれぞれの理由と、加賀藩の「七木の制」、「はぎ取り」などの背景から分かり易く教えていただきました。 続いて、新川地域の自然環境について、多雪をもたらす季節風や北アルプスの影響、大きな高低差や地形・地質、水環境、日本海側特有の植物群、地史などから読み解いていただきました。その上で、洞杉はこの地域の特有の要因が複合的に関わり成立した植物のひとつの形であることを理解しました。 後半では、魚津埋没林を題材に、同時に発掘された種子・花粉・昆虫といった生物の痕跡から当時のスギを取り巻く環境を教えていただきました。水生・湿地性の種が多く、スギ林の近くの湧水の存在が示唆され、魚津埋没林が杉沢の沢スギの原型であったことを明らかにしていただきました。 また、高山植物や鹿島樹叢など、気候変動と植物の関係にも触れていただき、植生が過去の自然の変動を映し出すとともに未来の変化を予測する手がかりにもなることを教えていただきました。 「植物の背景」を丁寧に読み解いてくださり、地域の自然環境への理解を深める貴重な機会となりました。 <参加された皆様の感想より> 「身近なお話から、地球温暖化まで本当にわかりやすく感動的な講演でした。」 「気の遠くなるほどの年月の間に洞杉が現在の形になった経緯が分かり、ぜひ行ってみたいと思った。」 「スギの来歴や温暖化の影響など、植生について丁寧にわかりやすく話してくださって良かったです。植物を見るときの大きな背景を知ったような気がします。来歴まで推測することはできませんが、大きな視点を得た思いです。」 「洞杉の事を全く知らなかったので実物を見に行きたいと思いました。また、魚津には洞杉の他に最高地のスギ、埋没林など日本にここしかないいろんなスギがあることが分かりました。」 今回でLSA56「見つめよう!新川-水・大地・植物-」全3回は終了です。 ありがとうございました。