LSA56「見つめよう!新川-水・大地・植物-」第2回 [更新日:2025年6月26日] つながる学びわくわく講座つながるふるさと学びコース(地区単独型) LSA56「見つめよう!新川-水・大地・植物-」第2回 日 時: 令和7年6月14日(土)10:00〜12:00 場 所: 富山県民生涯学習カレッジ新川地区センター 講義室 講 師: 立山カルデラ砂防博物館学芸課 課長補佐 丹保 俊哉 氏 「震える山、息づく山 知られざる立山の鼓動」 講師の丹保氏。 講義では、はじめに地獄谷には爆裂火口が複数あり「穴だらけ」であることや、火口の周囲を登山道が通るなど、その特異な地形の様子をあらためて確認しました。そして、噴気・溶融硫黄・熱水の噴出、硫黄の燃焼ついての映像や、噴火を記録した文献「立山路の歴史のあるき(佐伯立光著)」「伊東御触留(1836)」から、地獄谷で何が起きているのかを丁寧に教えていただきました。 また、地獄谷の存在を伝える最古の絵図「地蔵菩薩霊験記絵巻」などを通して、地獄思想との関わりについてもわかりやすく解説していただきました。 続いて、弥陀ヶ原火山の成り立ちについて、22万年前頃に始まった火山活動や、10万年前頃の大規模噴火による火砕流で弥陀ヶ原台地が形成されたこと、その後、浸食と崩壊が繰り返され長い時間をかけて現在の立山カルデラ(浸食カルデラ)が形づくられたことを学びました。4万年前頃には最後の溶岩噴火で室堂平ができ、その後の複数の水蒸気噴火で地獄谷が形成されたことなど、その歴史とスケールを詳しく知ることができました。さらに、地獄谷の高濃度ガスによるハイマツの枯死や、人への影響についても紹介がありました。 最後に、最近の電磁気探査や地震波解析により、マグマ溜まりなどの地下の様子を解析できる最新研究が紹介され、カラーで色づけするなど可視化された資料により、弥陀ヶ原火山の地下の様子を科学的な視点で学ぶことができました。 また、日本列島の地殻変動についても触れられ、「歪む台地が立山を震わせ、息づかせる」「禍福はあざなえる縄のごとし」という言葉でまとめていただきました。 講義を通して、「震える山、息づく山」についての理解を深め、地球の営みにどう向き合うかを考える貴重な機会となりました。 <参加された皆様の感想より> 「地獄谷の地下の様子、現在も活発に活動している様子がとても分かりやすく、勉強になりました。」 「室堂付近の景観を楽しむだけでなく、地熱活動のメカニズムにも思いをはせたいと思う。」 「立山カルデラが浸食カルデラとは知っていたが、弥陀ヶ原溶岩台地がどうしてできたか疑問だったが今回の説明でよくわかった!終りの方での探査の結果が面白かった。もっと知りたい!」 「通行禁止の地獄谷の中の様子を映像で見ることができとても良かったです。大地の鼓動を感じました。近いうちにまた、訪れてみたいです。」 次回は6月28日(土) 10:00~12:00 第3回 「なぜそこに生きるのか~植物の背景を探る」 講師は、魚津埋没林博物館 館長 石須 秀知 氏です。